成功と幸福を呼ぶ言葉02

20 もうだめだと思った時が本当のスタートラインだ

ボクシングの名チャンピオンだったモハメド・アリという人がいます。
以前は、カシアス・クレイと名のって、ホラ吹きクレイだとか、変人だとか言われていました。

私はある時、彼の自伝映画を観たことがありました。
その映画のラストシーンにこういう場面がありました。

『私は走る、走る、走って走って走りぬく。
私は倒れる。
苦しくて。
でもまた起き上がって走る。
また倒れる。
また起きる。
それを繰り返しているうちに、私の足はもう一歩も動かなくなる。
それでも私は起きる。
そして、もう最後には全く動けなくなってしまう。
しかし、これからが私にとって本当の練習が始まる時なのだ。』

このシーンを見て、私は感動しました。

世界のナンバー1になるような人はこうなのです。
もう動けなくなった、と思った時からスタートするのです。

相撲の解説者の話を聞く機会がありました。
大相撲の稽古というのは、いやでもさせられるのですが、なぜ同じ稽古をしてどんどん強くなる人と、
落ちていく人がいるのかというと、稽古に対する心の姿勢が違うというのです。

同じ稽古をさせられても、今日一日の内に自分の全ての力を出しきろうと思っているのか、
力を抜いているのかによって差がついてくるということです。

十の力があったら、それを全部だしきって次に十一の力になろうとしているのか、
七、八分目くらいに押さえているのかで、大きな違いが出てくるということです。

全部出して十一の力になろうとしている人は、一晩寝ると、ちゃんと十一の力がついている。
今度は十二の力になろうとする。
それを繰り返すうちに何十という力になり、大関、横綱になれるのだそうです。

ほとんどの人が、持っている力を出し惜しみしているのです。
全力投球して、今まで出したことのない力を出そうとしていると次の新たな力が湧き出てくるのです。
スポーツの世界だけではなく、私たちの日常生活も全く同じなのです。

私も宝石のセールス時代に同じような経験をしました。
宝石のセールスもだいぶ慣れて、売り上げもコンスタントに上げられるようになった頃のことでした。
ある時、私はこのままでよいのだろうか、このままではセールス力が弱くなるのではないかと思いました。
私はもともと将来の資金を稼ぎだすため以上に自分を磨くために、このフルコミッションセールスの道を選んだのですが、
最近売れているのはただ単にお客様と親しくなったから、付合いで買ってくれているのではないかと疑問に思えてきたのです。

『よし、自分自身への挑戦のために今度は全く知らない人ばかりの所に売りにいこう。それもどうせ行くなら、
一番大変な所に行こう』と決意し、私が選んだには日本の最北端の北海道の稚内、それも厳冬の時期でした。

私の心が決まった瞬間、不思議に胸がドキドキ高鳴り、顔が火照って何とも言えぬ興奮が押し寄せてきました。
『これで売れなかったら、今までの自分の力はニセ物だったのだ。よーし!やるぞ~!』と心の中で叫んでいました。
そして、上司、他の営業マンに「私は二十日間以内に稚内で八百万円以上売れなかったら、皆さんの前で腹を切って死にます。
嘘は言いません」と断言して、北海道の稚内に列車で旅立ちました。

稚内での一日目は零下十五度くらいの猛吹雪の日でした。
一メートル先がやっと見えるような天候で、手はこごえ、足は凍りつくようになり、
五百メートルも歩くと手足の感覚がなくなり、とてもセールスどころではありませんでした。

そのうえ、誰一人として町には知っている人はいません。
これはとんでもない所に来てしまった、と私の心を一瞬後悔の念がよぎりました。
しかし、皆の前で「八百万円以上売らなければ腹を切る」と宣言してきた以上、何が何でもやらなければいけないと、
自分自身を奮い立たせ、町の下見を兼ねて二~三キロ歩きました。

それから、最初の一軒に「すみません。死ぬほど寒いので少々暖まらせてください」と手を合わせ、
今にも泣きそうな顔で飛び込みました。

「私は東京から来たものですが、稚内がこれほど寒いとは思いませんでした。お願いします」と頭を下げて頼みました。
その家には、五十才くらいの優しそうな奥さんが居ました。
その奥さんは「そうかい、東京から来たのかい、大変だったね。そんな格好では稚内では寒くて無理だよ。
まあどうぞあたっていきなさい」と奥の方に通してくれました。

私がストーブにあたっていると、お茶やみかんなどいろいろと出してくれました。
そして大分親しくなり、身体も暖まったころ「私は稚内に宝石の商売をしにきたのです」と宝石を奥さんに見せました。
普通は警戒心が先に立つのですが、その奥さんは、私への同情心からか、話をよく聞いてくれ、
そして自分の孫の話を目を細めて、嬉しそうに話してくれました。

そして、亡くなったご主人の話などを涙を浮かべながら話してくれました。
私も話を聞いているうちに、一緒に涙を流しながら一時間ほど話をしました。
それから自然に、宝石のセールスの話になり、結局当時のお金で三十五万円のエメラルドを買ってもらいました。

最初の「すみません。少々暖まらせてください」と家に入れてもらったことが、結局は商売になったのです。
そして次の訪問からは「すみません。寒いので少々暖まらせてください」と飛び込んで行き、
ほとんど断られることはありませんでした。

結局その月は、目標の八百万円以上の八百九十万円を売り上げ、死なずにすみました。
このような経験を踏まえて、私は何をするにも力を抜かずに、全力投球しようとするくせが身についたのです。
何でも、一生懸命にやることです。

私は、それを実践したおかげで、いろいろな自分の世界を広げることができたのです。
人が訪ねてきて話をする時も、講演をする時も、力を抜かず同じように全力投球で話します。
そうすると、やればやるほど、新しい知恵やアイデアがどんどん湧き出てきます。

力をセーブしようなどと思っていたら、これほどいろいろな知恵やアイデアは出てこないでしょう。
常に、何事にも、惜しみなく自分の力を出して、全力投球することです。

成功したいと努力しているのに思うように成功できない方へ「無料メールセミナー」