成功と幸福を呼ぶ言葉02

13 商売とは、人生とは自分の心を開拓し続けることだ

私は、あることをきっかけとして、セールスに対する考え方、商売に対する考え方、
人生に対する考え方が根本的に変わりました。

この体験で私の物事に対する考え方が根本的に変わったと言えるような体験でした。
その体験とは、私が宝石のセールスをしていた二十三才の時のことです。

ある地方の中華料理店の奥さんに宝石のセールスをしていた時のことです。
その奥さんが指輪を気に入ってくれて、今にも売れそうな雰囲気でした。
私は内心で『よし、もう一息だ、もう一息で売れるぞ』と思って一生懸命にセールスしていました。
その時に、その家のドアチャイムが鳴ったのです。
〝ピンポーン〟奥さんが「どなた~」と言うと、「○○自動車の吉田です」という声が聞こえてきました。
大手自動車会社の三十代半ばのセールスマンが入ってきました。

私はこの奥さんとは初対面でしたが、そのセールスマンは奥さんと顔見知りでした。
しかし、私の方が先客でしたから、かまわずセールスしていました。
そのセールスマンは私の隣に座り、私に名刺を見せてくれと言うので、私は自分の名刺を出しました。

そのセールスマンは、私の名刺を見て、私の顔と名刺を見比べながら言いました。
「あなたみたいな若い人が、何十万とか何百万円という宝石を持って歩いても売れないでしょう。
奥さん、宝石はもっと信用できる所から買わなくてはだめですよ。
こんな石っころだか何だか分からない物を、どこの馬の骨だか分からない人から買って、
万一トラブルが起こったらどうするのですか」その言葉で今までのムードが完全に壊されました。

中華料理店の奥さんは「そう言われればそうね。買うのはまた今度にするわ」とすっかり買う気をなくしてしまいました。
上気していた顔がすーっと醒めていくのがはっきり分かりました。
今度にする、というのはもういらないということです。
自動車会社のセールスマンは、同じセールスマンでありながら、今にも売れそうだった私のセールスの邪魔をしたのです。

私は、カーッと頭に血が上りました。
『ふざけやがって、いくら自分の会社が大手で有名だからといって、人の会社や人のことを馬鹿にすることはないじゃないか。
このやろ~』私はよほどこのセールスマンを表に連れ出して殴ってやろうかと思いました。
しかしなぜか私は心のブレーキがかかったのです。
『待てよ!私は自分を磨くためにセールスの仕事をしているのだ。このセールスマンと喧嘩しても何も得られないではないか』
私は心のチャンネルを切り替えました。

『よし、考え方を変えよう。このセールスマンに売れなかった責任を取ってもらおう。
責任を取ってもらうということは、このセールスマンに宝石を買ってもらうことだ。
よ~しそれも、何が何でも絶対に、殺されても今日中に買ってもらおう。
明日とかあさってとかではなくて、今日中に絶対に買ってもらおう』と心に誓いました。
私は、はっきりとした目標を持ったのです。

しかし、脅して売るわけにはいきませんから、気に入られて売るしかありません。
私はニコッと笑顔を作って「先輩、私はまだまだ未熟ですからセールスのことをいろいろ教えてください」
とペコリと頭を下げ、そのセールスマンの靴を磨いたり、煙草の火をつけたり、鞄をもったりして、
そのセールスマンの車に乗り込んで、一日中ついて回りました。

そのセールスマンは「セールスはこうしてやるのだよ」といろいろ私に教えてくれるのです。
私は「さすが先輩、違いますね~」と相手を立てながら、相手の話す言葉をメモに取り、
気に入られるようにして、そのセールスマンが気を抜いた合間、合間に宝石のセールスをしながら、
ずーっとついて行ってとうとう相手の家にまでついて行きました。
家には、奥さんとお嬢さんがいました。

私はその奥さんに宝石を見せながら、全力でセールスしました。
「奥さん、宝石というのは奥さんが永年身につけてそれから子供に残していくものなのです。
お母さんの心が代々残っていくのです。この指輪を見るたびにお母さんのことが心に浮かぶのですよ。
お母さんの心が残っていくのですよ。
実はこれは指輪でもなく、宝石でもなく、お母さんの心そのものなのです」

私は必死になって、思いつく言葉を全て並べて一生懸命セールスしました。
追い出されそうになると、なんとか粘ろうと突然「かわいいお嬢さんですね」などと、話題を変え、
相手に好かれるように心掛けながらセールスしているうちに、あっと間に夜の十一時になりました。
奥の部屋でそろそろ帰れと言わんばかりに、わざと見えるように布団を敷き始めました。

それを見て、私は『なにくそ!よ~し、もの家族が寝たら、
私は絶対に翌日の朝まで枕元で一人でしゃべり続けて寝させないぞ』と心に誓いました。
私は必死になってセールスし続けました。

そしてついに、昼の十一時から夜中の十二時まで粘りに粘った結果、とうとう相手は観念して、
当時のお金で四十万円のダイヤモンドを買ってくれたのです。

私は、その家から帰る時、
人間というのは必死になるとここまでできるのかというくらい極限まで全神経を集中させていたために、
ふらふらになって倒れそうになりました。

しかし、ふっとその時にあることが私の頭に浮かびました。
『いや~待てよ。私の持っている商品には二~三万の安い物もあったのにわざわざ四十万円のダイヤモンドを買ってくれた。
最初、私のことを馬の骨や石っころ呼ばわりした人に、たった一日で信用させて売ってしまったのだ。
あっ、そうか本当に宝石を欲しくなったのだ。おれの誠意が伝わったのだ』
そう感じた時に、疲れがすっ飛んでしまって、嬉しくて足取りが軽くなり「そうか、わかったぞ!」
と大声を張り上げていました。

全て自分の心で、見込客とか買ってくれそうもないとか、好きとか嫌いとか、
勝手に決め込んでいたということに気がついたのです。
翌朝目が覚めた時には快晴のようにスッキリした気持ちでした。

私はこの体験で、どんなことでも実は、全て自分の心の問題だということを感じ取ったのです。
よい人や悪い人、買ってくれそうな人、そうでない人、全て自分の心の中の制限なのだ、全て勝手に自分で決めていた、
ということに気がついたのです。

このことに気がついた時、自然に涙が溢れ出て、心の底から感動しました。
私はセールスを通じて、商売とは市場を開拓するのではない、自分のものの考え方、
心を開拓することが全てだということを学んだのです。

だからこそ、昨日までやったことのないことを今日やってみるのです。
昨日と全く違う新しい自分になるのです。
どんなことでも嫌がらずにやるのです。
この体験で、全ての人がお客様に見えてきました。

全ての人が良い人に見えてきたのです。
セールスとは、商売とは、人生とは、自分の心を開拓し続けることなのだと発見したのです。

成功したいと努力しているのに思うように成功できない方へ「無料メールセミナー」